プログラム / data/literature/kyonen-no-ki.json
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{ "id": "aozora-4719", "title": "去年の木", "author": "新美南吉", "bodyCharacters": 808, "authorDied": "1943-03-22", "cardUrl": "https://www.aozora.gr.jp/cards/000121/card4719.html", "textUrl": "https://www.aozora.gr.jp/cards/000121/files/4719_13221.html", "reuseUrl": "https://www.aozora.gr.jp/guide/kijyunn.html", "baseBook": "ごんぎつね 新美南吉童話作品集1", "publisher": "てのり文庫、大日本図書", "baseEdition": "1988(昭和63)年7月8日第1刷発行", "parentBook": "校定 新美南吉全集(大日本図書)", "inputBy": "めいこ", "proofreadBy": ["鈴木厚司", "もりみつじゅんじ"], "created": "2003-09-29", "originNotice": "青空文庫作成ファイル:このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。", "conversion": "本文の表記・段落を保持。公開XHTMLのルビ5件をエディタのルビデータへ変換。原稿表示には題名・著者名の2行を追加。底本・入力校正・作成日・由来は同梱notices.txtへ保存。", "markedBody": " いっぽんの木と、いちわの小鳥とはたいへんなかよしでした。小鳥はいちんちその木の[[枝|えだ]]で歌をうたい、木はいちんちじゅう小鳥の歌をきいていました。\n けれど寒い冬がちかづいてきたので、小鳥は木からわかれてゆかねばなりませんでした。\n「さよなら。また来年きて、歌をきかせてください。」\nと木はいいました。\n「え。それまで待っててね。」\nと、小鳥はいって、南の方へとんでゆきました。\n 春がめぐってきました。野や森から、雪がきえていきました。\n 小鳥は、なかよしの[[去年|きょねん]]の木のところへまたかえっていきました。\n ところが、これはどうしたことでしょう。木はそこにありませんでした。根っこだけがのこっていました。\n「ここに立ってた木は、どこへいったの。」\nと小鳥は根っこにききました。\n 根っこは、\n「きこりが[[斧|おの]]でうちたおして、谷のほうへもっていっちゃったよ。」\nといいました。\n 小鳥は谷のほうへとんでいきました。\n 谷の[[底|そこ]]には大きな工場があって、木をきる音が、びィんびィん、としていました。\n 小鳥は工場の門の上にとまって、\n「門さん、わたしのなかよしの木は、どうなったか知りませんか。」\nとききました。\n 門は、\n「木なら、工場の中でこまかくきりきざまれて、マッチになってあっちの村へ売られていったよ。」\nといいました。\n 小鳥は村のほうへとんでいきました。\n ランプのそばに女の子がいました。\n そこで小鳥は、\n「もしもし、マッチをごぞんじありませんか。」\nとききました。\n すると女の子は、\n「マッチはもえてしまいました。けれどマッチのともした火が、まだこのランプにともっています。」\nといいました。\n 小鳥は、ランプの火をじっとみつめておりました。\n それから、[[去年|きょねん]]の歌をうたって火にきかせてやりました。火はゆらゆらとゆらめいて、こころからよろこんでいるようにみえました。\n 歌をうたってしまうと、小鳥はまたじっとランプの火をみていました。それから、どこかへとんでいってしまいました。"}